BeSeTo演劇祭 

早稲田大学にて十一月期に行われた、日中韓の合同演劇祭「BeSeTo演劇祭」を見てまいりました。besetoとは、各国首都の北京ソウル東京の頭文字。といっても日本のお芝居しか見られなかったのですが。
いやあ。すっげえおもしろかった。

劇団山の手事情社の「道成寺」はほんとに、すさまじかった。

最初に、生卵を卵を吐いては「ギョエー!」とか「キエー!」とか叫ぶ女たちが出てきたので、「ア、アングラ…?」とかアングラ演劇の何たるかもしらないのにびびってましたが、いやあぞくぞくするほど面白かったです。(卵は蛇とかけてるのか~)
今昔物語のやもめ女が鐘に向かってくどくのは、なんとも怖く痛切で、泣きそうになった。
蛇にたたられ狂気に憑かれた僧侶、安珍様いのーが切ない清姫、とにかく役者全員すばらしく身体を使っている。日高川越えと大蛇の表現はすごい。これこそ、脚本だけみて云々するは木をみて森を見ずということになる芝居でしょう。大時代的なせりふ回しが奇抜な衣装に見事に生えている。
近くで観れてとてもよかった。ほんとにただでいいの?

(蛇足ながら「道成寺」というのは歌舞伎でおなじみ、安珍・清姫伝説で知られる和歌山のお寺。
旅の僧侶安珍と清姫は一度で恋に落ちるが、修行の身である安珍は結局清姫をふって逃げる、逃げたその先は道成寺。愛憎に駆られた女の一念大蛇となって、安珍の隠れている鐘を焼き尽くしたという。)
↑これが全体のモチーフとなって、オムニバスのように話が進む。あーー、おもしろかった…





劇団大阪新撰組「玄朴と長英」

小劇場の空間で、役者の誰もが一度も袖に引っ込まないという芝居。
ほとんど玄朴と長英の二人芝居である。スーツをきた男は現代人、二人の話を呆然と眺めているだけ。
まじめで小さくまとまる玄朴と、大言壮語で血の気の熱い長英。サリエリとモーツァルトにたとえるのは強引だろうが、ああいう好きだから憎くて憎くてたまらないという感情は普遍のテーマだと感じる。
役者の熱意あふれる芝居はすごいけど、置いてけぼり感が拭えなかった。
ていうか早口すぎて何を言ってるかわからない…けどまあそれはいいか。
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# by lowoolong | 2004-12-30 17:39 | 演劇

「野田版研辰の討たれ」DVD


歌舞伎名作撰 野田版 研辰の討たれ
/ NHKソフトウェア
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サイコーーー!


すっごいおもしろかった
すっごいおもしろかった
頭の中がばら色でした

兎にも角にも勘九郎さんがたまらない。なんて楽しそうに芝居をするんだろう。
ほとんど出ずっぱりで、独楽鼠のようにちょこまかうろちょろ動きまくる。すっごいバイタリティ。こんな芝居毎日やってたら相当身体に負担が来るだろうに… いやすごい。もうこの人の笑わせのセンスはコメディアンの域に達している。冒頭で、うひゃひゃひゃ、えへへへと笑いながら出てくるところでもうわたしの心をがっちり。
「ぼっちゃんぼっちゃん。ぼっちゃあーん!ぼぼぼぼぼぼっちゃん!」(ここ相当に好き)
勘九郎さんは役者さんたちの中では背が低いので、逆に目立つ。それが研辰のキャラとも相まって、見事なくらいのはまり役。「生きてぇよぉ、生きてぇよお」は勘九郎の本心だと思う。ほんとに。
このひとの魅力、恐ろしいです。なんなんだろうこの愛嬌。

女形の方々が素敵でしたわいなァ~。生き生きしてます。
福助が良すぎ。お部屋様と武家娘およしの二役、とくにおよしがべらぼうにいい。辰三のひざをつん、つんつん、とつっつくところは可愛さのあまりウギャアと叫んでしまいました。ほんとありえない。(DVDなので、ここ3回くらい見返しました。本当にかわいい。)
もういい、何をしても許す。福助の声はオカマちゃんっぽいけどそれがいいの!いいったらいいの!
「あっぱれじゃ!」のお部屋さまは面白かったし。あっぱれじゃ!

芸者金魚:芝のぶちゃん。…声から姿から、ほんとに女の人みたい…。すごい。DVD貸した友達は「歌舞伎って女の人出ていいの?」とかゆっとたよ。
おみね:扇雀。泣き出しちゃうとことか才二郎に言い寄るとことかかわ…かあわいい~?(笑)

七之助。お侍姿が格好よくってびっくりした。「中村屋ぁー!と、こえをかけてやったー!」なんだよ、声もいいじゃないかよう。
弥十郎。このおっさんおもしれぇ… 地味に色々変わって出てきます
三津五郎。ご家老様!足芸がすばらしいよご家老!威厳もあるしおかしさもあるし。「武士は脳卒中では死なぬ!」アハハー
からくり人形:亀蔵
。ええええ千と千尋?(笑)
はしのすけ なんて気品のある坊主すがたかしら…(笑)

仇討ち兄弟:染五郎と勘太郎
。殺陣が格好よすぎ。殺陣が格好よすぎ。殺陣が超かっこいい。
染五郎の舞台を始めてみたわけですが、…あんた!プライドに出てる場合じゃねえよ、いいじゃないの! 近頃すっかりひげが濃くなって…!
勘太郎(側転)は平助のまんまっぽかった。あんたいいよ…かっこういいし可愛いよ…
タバコを食べたら死ぬかしら(by芥川龍之介)

あだ討ちはするものではなくさせられるもの。
普段は背景として存在する脇の人たちが、「世間」という役でうねりをあげるのがとてもいいです。
最初の回り灯籠のような忠臣蔵あだ討ち、模範のような忠義を見せ付けられた人々はそれを身近に求める――求められたほうはたまったもんじゃない。
「人殺しと呼ばれるのではないか?」「だれが申します!」
「急に故郷に帰りたくなくなった…」「しかし、帰らぬわけにはいきません…」
自分たちのしたことに疑問を抱きながら、武士の九市郎才次郎は武士の囲いの中へ帰っていく。
舞台に残るのは、「散りたくねえ散りたくねェと思って散った」紅葉と辰次の亡骸があるばかり――と。

ああ面白かった…
衣装も奇抜。迷彩柄の着物や黒子さんなんかすごい。
歌舞伎もこういうことしていいんですね。ホント、面白かったですよ。
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# by lowoolong | 2004-12-30 16:46 | 歌舞伎