カテゴリ:みものききもの( 33 )

コープス・ブライド

さて最近は何をしてたかといえば
チャーリーとチョコレート工場でスイッチが入った というわけでもないですが
いろいろえいがを借りたり見たりしていました

「この胸いっぱいの愛を」
わたしは世界の中心でいま会いにきて黄泉がえったり、そういう映画を見つけてないんですが
こういうのがいまの流行なんですかねえ 
難病×バイオリン×男と女×こども×犬×老人×母親etc となんていうかもうわかったから、つう感じな上に
肝心の構成が今ひとつでした。台詞でいろいろ説明しすぎやねん…
くどかんと勘三郎のサイドストーリーは、贔屓目もむろんあるだろうけどメイン&もうひとつのサイドストーリーよりずっとよいと思った。短かったけど…つか勘三郎五分も出てなry
まあそんな所です。カヴァレリア・ルスティカーナは研辰の方がぐっときたな…。

で、「~チョコレート工場」のティム・バートン監督の次作品「コープスブライド」も見てきました。
妙に待ち遠しくてたまらなかったこの映画
とってもよかった!

何がよかったってストップ・モーションというコマ取り手法で撮られているそのキャラクターたち&音楽(最高)、そして「暗いこの世と明るいあの世」という世界観…!(要するに全部)
だいいち「死体の花嫁」というなんか微妙なホラー映画みたいな題材が、こんなにかわいらしくてちょっとほろりとくるようなファンタジーになるのがすごいわ
結婚を控えた内気な青年が、うっかり死体にプロポーズしちゃって(しかも「お受けします♥」と出てこられちゃって)どうしましょうというストーリーですが
主人公も死体の花嫁も、主人公の(現世の)婚約者も、三角関係ながらみなとても性格がよくてかわいいのです。ちょっとかわいそうになってしまう
骸骨たちはまたとってもかわいいし、この世の人たちも意地悪で暗くてステキ。

一時間半に満たない映画ですが、充分な美しさと完成度でした。
フィギュアを欲しい、という気持ちがものすごくよくわかった。
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by lowoolong | 2005-10-25 03:55 | みものききもの

銀座ごはん

納涼歌舞伎はいつもと時間帯が変わってて、
第一部は11:00~14:30くらいなわけです。

中でお弁当を食べるのがなーんか中途半端だったので、ヤフーで適当に調べた銀座のお店でご飯を食べることにしたのです
美味しかったし値段も安いしで、なおかつランチタイムが土曜は16時までという太っ腹具合で素敵なお店なのでした
しかし店の名前が…
Scheveningenっつーんです
読みが「すけべにんげん」です
さすが銀座はいろいろ粋だな…(笑)

また歌舞伎観にいったときにでもいってみようと思います。
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by lowoolong | 2005-08-28 15:20 | みものききもの

広島

東京から広島まで四時間。
宮島がよかったです。

尾道にいけなかったのが残念でなりませなんだ
というか尾道ラーメンが。……悔しいので東京駅でラーメンを食べてしまいました。
東京駅地下街にはラーメン激戦区とかいうのがあり、どんだけ熾烈なのかと思ったら、私が食したラーメン屋はいまいち微妙でした。高いしっ
原爆ドーム&資料館は、あれは見ると見ないとじゃ戦争への考え方が変わると思う…
あそこにあるものは、何を見てもいちいち鳥肌がたちました。
広島という町は、永遠に重荷を背負った場所だと思った。

あと、呉に行ったけど「大和ミュージアム」しか見る暇がなかった。
(というわけで『男たちの大和』は観にいかなきゃなーと…獅童さん出ますね)
結構いろいろぐだぐだですた。まあいいか。
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by lowoolong | 2005-08-26 18:17 | みものききもの

亡国のイージス

八月三日 
亡国のイージス


おお!
おもしろかった!

寺尾聡は、やはり目だけで人を泣かす凄い俳優だと思う。
悲傷した壮年をやらせりゃ天下一です
またうるうるきてしまった。

とにかく
真田博之カッコいい&中井貴一カッコいい&佐藤浩市渋い、
そしてちょい役かなァと思ってた伊東センセ谷原章介ももうけものでした
どのキャストも凄く良かった…
やっぱ、制服って格好よい人が着るとさらに三割ましに素敵に見える。

原作とラストはかなりちがいますが、それでよかったんじゃないかな。
ただ、「亡国のイージス」というタイトルにまつわるストーリーが今ひとつ薄い気もする。
「我らは亡国のイージス~~」という台詞がなかったのは残念でした。
その代わり、岸辺一徳の「日本は六十年間、そのはざまにいるんだ」という台詞はかなりキました。

エンドロールの、自衛隊の協力っぷりがちょっとすごかったです。うへー
とりあえずアカデミー賞の何かしらは取るであろう。。

それにしても、レディースデイだったというのに半分もお客が入ってなかった…
これはうちの地元がシネコン乱立ってだけなのか、女性ターゲットではないということか。
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by lowoolong | 2005-08-04 02:05 | みものききもの

忠臣蔵外伝 四谷怪談

確か十二月だか一月だかに木曜洋画劇場で放映されていて、
一応とっとくべえと思って古いビデオに録画したもの。これのうしろには「壬生義士伝」が入っている。(佐藤浩市ビデオになってしまった)…というと、やっぱり十二月だろうか
最近四谷怪談に無性にはまっているので、やっとこすっとこ探しだしてみてみましたよ。

おーもーしーろー!!

わたしは映画にもかなり暗い人間なので、深作監督の作品って「蒲田行進曲」とかしか見た記憶がないのですが(吉原炎上は深作作品じゃないのか…あれー?)
まあまあまあ ステキー!
色合いとかハッタリ感が蜷川幸雄みたい!(怒られるかも)

何がいいってキャスティングがステキですよ
民谷伊右衛門に佐藤浩市、お岩が高岡早紀、宅悦が六平直正(むたいと読むとは知らなかった)、大石内蔵助が津川雅彦。 歌舞伎でいえば「ニン」ともいうのか、キャラクターで想像する人物造詣にズドンとあてはまるキャスティングです。
高岡早紀はふつうの「お岩様」を想像するとどうかなーと思いますがこれにはあってた…だってお岩武士の娘じゃないし。しかし映画だとああも胸を晒すもんなのか

ストーリーは忠臣蔵×四谷怪談でありまして、民谷伊右衛門が二つのストーリーを結んでいるといったところ。正直幽霊お岩さんが霊力(?)で赤穂義士の味方をしてくれるとは思いませんでしたが、まァそういうのは結構どうでもいいのです。
吉良のおじさんの「こんな首でよかったらどうぞ、わたしはもう疲れた」というので義士たちと一緒にううっ(泣)ときたのでそれでいいです。何といっても一等馬鹿なのはあの浅野のタクちゃんですねっ(by辰次)

素晴らしかったのがお梅(荻野目慶子)と伊藤喜兵衛(石橋蓮司)とお槇(渡辺えり子)、なんだその白塗りは!!喜兵衛まで!トンチキ!ステキ!っという
お梅の、キの字の入った危ないおひい様っぷりが最高だった。んでもって、渡辺えり子……こぉわあああー(笑)! 声でえり子だ(←何様)と気付きましたが…あの化粧はすげーよ。下から照明当てるなよ。古典的なのにおもしろ怖い…ステキ…
正直お岩の幽霊よりも、お梅の「キョキョキョ!」みたいな笑顔のほうがよっぽど怖かった…きれいだから余計怖いんだな。ううむ

「うわー」とか「ひゃー」とか言いながら見るのに適した、なんかどこか凄く舞台ちっくな映画でした。四谷怪談的エピソードは随分ダイジェスト、なるほど忠臣蔵の外伝、と銘打つだけはある。
でも面白かったー。深作監督のほかの映画も見てみようと思った。いまさらだなあ、全く
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by lowoolong | 2005-06-12 23:38 | みものききもの

中村歌留多や中村雅楽や

火サス「歌舞伎役者 中村歌留多」みましたー
テレビでも福助がみれてラッキィ☆ってかんじですね。ややナヨいけどダンディー
でもやっぱし歌舞伎やってる福助(歌留多)がいっちゃん良かった。葛の葉…

眼医者や掃除屋や自治会長や芸者弁護士やラーメン刑事が出てきて見事に事件を解決してしまうと言うサスペンスもののジャンルにおいて、「歌舞伎役者がなんで事件解くんや!!」というツッコミはナンセンス!なんでしょうねえ。歌舞伎役者に比べたらラーメン刑事や芸者弁護士の方がよっぽど何それ!ってかんじだしな。

以前、たまたま歌舞伎役者が探偵の『團十郎切腹事件』という本をもらったので最近ぺろぺろと読んでいたのですが、タイムリーなことでした。
この作品は戦後の演劇評論の代表格である戸板康二氏が書いた、高松屋の屋号を持つ老優・中村雅楽を探偵とした連作ミステリーものです。
表題作の「團十郎切腹事件」は直木賞をとったとやら…… わたしは、今回の「中村歌留多」となんとなーくオチが似ている「奈落殺人事件」も好きです。うん。
行動派な歌留多さんと違って、雅楽は徹底的に安楽椅子探偵ですね。
わたしは勝手に雅楽を中村又五郎丈でイメージして読んでいましたが、福助丈のサイトを見てみたら先代(十七代)勘三郎がこの「中村雅楽」をテレビドラマでやったと言うじゃありませんか。知らなかったー

まあそんなこんなで
獅童さんに続きかんたろうさんまで近々なんかあるんじゃないかと福助にちょっぴり(いやだいぶ)振り回されている今日一日でございました。
それが本当だったら中村屋、今年度話題多すぎ。……へーすけぇ~
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by lowoolong | 2005-05-18 03:24 | みものききもの

江戸東京博物館

大好きなのです。
深川江戸資料館も大好きです。ビバ江戸ー

ゴールデンウィークということで、何もしないでごろごろしているのはやっぱりアレかな、という日本人の典型的な考えをしたところ、親とミニお江戸散策をしてきました。両国・浅草・銀座です。
おのぼりー★

江戸東京博物館、スゲー混んでた…
ただ今企画展で「シルクロード展」がやってて、たぶん企画展+常設展で入る人がほとんどだったろうと思うのですが、まぁそう時間もないしぶっちゃけ「なんでお江戸とシルクロードが…」みたいな気もするのでシルクロードのほうはパスしました。楼蘭遺跡には行ってみたいんですがねー(むちゃくちゃ綺麗な美少女のミイラが見つかったとこです。ステッキ)
前行った時は、日本橋のミニチュアやら浅草十二階の模型なんかに目を取られてうはうはしていましたが(その頃は江戸川亂歩の『押絵と旅する男』に夢中だったのです)、今回はもう言わずもがな、歌舞伎小屋の模型やら中村座の再現施設にキラッキラしてきました。
とくになかむら座、あまりのおのれのキラキラ具合に、「おわー私ほんとに中村屋が好きなんだな」とちょっと今更ながらびっくりしました。というか呆れました。まあ仕方がない。
『東海道四谷怪談』の芝居の仕掛けが見られるモニター(?)っぽいものがあって、とても興味深かったです。よく見えなかったけど。
『東海道四谷怪談』の提灯抜け(お岩さんが提灯から出てくる)は、初演(だっけ?)のとき毎日芝居小屋へ小さな提灯を取り寄せて、「あんな小さな提灯から人が出てくるんだとよ!?」ってな噂を立てて大繁盛、みたいな話があるそうです。勘九郎箱のアーカイブでダイジェストがはいってたんですが、「これが私の顔かいのぅ」と言って泣く勘九郎のお岩さんが凄く可哀想で仕方ない。いつかまたやんないかな…是非!!
展示の意図のうちではありましょうが、江戸時代から明治・大正へと、モダン~レトロ~素敵~みたいな感じでカラフルに時代は進んでいくのに、やはり大正期昭和期の日本の名残は白黒ですね。言わずもがな戦争は暗く、またうまくいえないのですが白黒のフィルムという記録媒体のそっけなさが、江戸明治大正期それまでの浮世絵や着物の華やかさと隔絶された感をだしていて、近代とは果たして江戸より華やかなのだろうか? と思いました。


せっかく両国にきたんだしー、とその後回向院をお参りしてきました。
回向院は、1657年、明暦の大火の起こった年に無縁仏を弔うために建てられたお寺です。
明暦の大火とゆーのは別名「振袖火事」とも言います。好きな人が着ていた着物を模して作った振袖を着ていたお嬢さんが若くして亡くなり、人手に渡ったその振袖を着たお嬢さんがまた亡くなり、とそんなことが続いたのでコリャ祟りだってんでその振袖を火にかけ弔おうとしたところ、あっという間に火のついた振袖が空へ舞い上がり、江戸中に広がる大火事になった、という。(こえー)
私なんかは宮部みゆきの時代小説でおなじみ「回向院の茂七♪回向院の茂七♪」という具合でおとずれたのでまったく気楽なもんでげす
そしたら、なんとまあ「鼠小僧次郎吉の墓」があってたいそうびっくりいたしました。わー三太!三太!(違う)
盗みはすれど仁義を守り、富めるを貪り貧しきを、救うは天下の~稲葉幸蔵~♪と呟いていたら今度は竹本義太夫さんたちのお墓もありました。南無。
それにしても、マンションの中でとつぜんぽかんと古びたお墓があったりするので、東京と言うのは面白い場所でございます。

その後浅草にでて、人の多さに辟易しつつトンカツとビールを喰らい
銀座に行ったらお神輿が見られず(くくぅ)五月初日の歌舞伎座を指をくわえて眺めてきました。つーかせっかくなんだから銀座ライオンに行けばよかった…
風薫る五月、まったくいい季節ですよ
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by lowoolong | 2005-05-05 04:16 | みものききもの

電車内異教談合

でんしゃないいきょうのかたらい

…びっくり
隣に座っていたメリケンの方(キリスト教らしい)と、途中から乗ってきたイケメンの超すてきなお坊さんとの間でいきなり宗教談話が始まってしまった…
「日本は宗教的だと思いますか?」「思いませんね…」とか
「そういうレリジャスな気持ちを持つことが、間違った方向にいってしまうとか…」「そういうふうに宗教がとらえられているのはインディビデュアルな価値観が…」とか
電車で初対面の人同士がこんな深い会話をしてるとこなんて初めて見たよ
最後に名刺交換までしてらっした。すごいなーなんか感動的(?)
でも頭の上でそういう会話が飛び交っているのはなぜか気まずくございました


+++
ミュージックステーションと映画「真夜中の弥次さん喜多さん」はいったい何を考えているのでしょう。ま、まさか歌舞伎役者がMステで唄って踊って♪なところを見られるとは思いもよりませんでした…ひいい
渋谷パルコPART3でやっている「真夜中の弥次さん喜多さん・大展覧会」に行ってきましたが、あの映画がとても気に入っちゃった人なら行って損はないと思います。なによりしりあがり寿の障子絵が大好きです。私の部屋にもかいてほしい(ますますカオスになるな)
でもこれもまた何故か、はいるのが異様に気まずいというか恥ずかしいというか途惑いました。輪投げだと!? やったけどさ…

もう、「襲名十八代~これは勘三郎からの恋文である~」なんてのに照れているどころじゃねーなと思う今日このごろです。
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by lowoolong | 2005-04-30 16:17 | みものききもの

小野梓記念講堂こけら落とし講演

早稲田大学というとこにはもともと小野梓記念講堂というものがあった(らしい)んですが、このたびまたあたらしく、大隈講堂の脇(?)に小野梓記念講堂ができました。地下階の、小劇場風の講堂です。早大の先生の話では、今後法学部はここを模擬裁判場として使うとやら…(ベニスの商人が地でできるな)
まあ私などは関係もないわけですが。

ってなわけで、こけら落とし公演のひとつとして行われた「講談・落語の技法と楽しみ」っちゅーのを見て参りました。タダだし。
しかしいろいろおもしろいことをやる大学じゃわい

落語は桂籐兵衛の「紺屋高尾」、講談は一龍斎貞水(人間国宝)の「鼠小僧~汐留の蜆売り」
私はナマで落語や講談をきいたのは初めてですが、いやすごいですね舌芸というのは。噺家がちょいと向きを変えりゃ何人も登場人物が見えてくる。背景がなくても染物屋やら遊郭やら雪のちらつく汐留やらにみえてくるってんだからたいしたもんだ。

「紺屋高尾」、いい話だった…「笑いというのは畢竟他人の犠牲の上に成り立っている」などと言われますが、最近のお笑いブームのそれっていうのは毒ばっかかもな、と思った。ほっとする、可愛くっていい~話でした。
桂藤兵衛さんは八代林家正蔵の弟子、ってえことはこぶ平のおじいさんの弟子だってことでいいんだろうか。落語界もいろいろ襲名だなんだと盛況ですねえ(十四万人だってさ、ちょっと悔しい)

「鼠小僧~汐留の蜆売り」
「盗みはすれど仁義を守り、富めるを貪り貧しきを、救うは天下の~稲葉幸蔵~」
ってのは野田版鼠小僧の「稲葉幸蔵」の台詞ですが、その鼠小僧もののひとつらしい。
鼠小僧の親分がカッコイイ…渋い…蜆売りの子供も船頭のひょろ竹も同じ人がやっているのにふしぎなものです。凄いなー
しかし「続き物」という形はなかなかもどかしいところで終わってしまうものだ。それからどうしたんだよ鼠小僧はさー

昨今は大学落研のひとがすぐ落語家・噺家になっちゃうので困ったもんだという話もありました。そういうもんなのか。
こーいうのはスズモト演芸場とかに行けば聞けるもんなんでしょうかね。ちょっと興味がわいてきました。

*俺の 俺の 俺の話を聞け~
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by lowoolong | 2005-04-16 19:15 | みものききもの

徘徊老人ドン・キホーテ


高校の頃、所属していた文芸部で「アフォリズム」というのをやりました。
アフォリズムというのは「金言・警句」という意味であり、「悪魔の辞典」のピアスや「朱儒の言葉」の芥川竜之介なんかがやってます。「煙草を食べたら死ぬかしら」とかね。まあ一言で言えば毒舌キャッチコピーみたいな感じなんでしょうか。この文芸部に入りたいがために高校を決めちゃいましたが(いろいろ痛いなー)全く後悔してません。楽しかったなあ。
そのアフォリズムのなかで、もうビビビっときたのがありました。
「狂人とは自らを正しいと叫ぶ聖者である」
誰が作ったんだっけなあ。顔も知らない先輩かなあ。それとも元ネタがあったのかな?

しりあがり寿の「徘徊老人ドン・キホーテ」を読んで、久々にあのアフォリズムを思い出しました。
新聞紙で作った兜と剣呑な槍を持ち、ぼろぼろの着物を着た老人。
彼と彼の吐く言葉は、明らかな異分子である。耳を貸さず、指をさして笑い、ちょっと顔をしかめただけで通り過ぎていく人びと。
でも、本当はどっちが狂いか。
本当は、どっちが正しいことをいっているのか。
世の中を蔓延する、「なんとなく」な「しかたない」な「いやし」と「わらい」と「欲」のムード。
徘徊する、ボケた、狂いの、異分子の老人はその中で叫ぶ。
「人類の罪で自分の罪が浄化できるかー!!」
やばいです。ズキンときた。

「癒し」というのは、本来の意味はともかくも、いまの使われ方は気味が悪いですね。。「癒し系です☆」と自ら呼ばわる商品はなんとなくアテになんねーなと思う。癒しは悪いことじゃあないけれど、腐敗ともまた同種でしょう。
しりあがり寿は、やじきたで「腐敗の癒し」みたいのを上手に描くなあとおもってたけど、こういう「告発する毒」っていうのもまたガンガンに凄いなあ。痛快。(なるほど「痛くて快い」だわ)
しりあがり寿は漫画というツールと「ドンキホーテ」という中世気狂い老人と、現代の「徘徊老人」をホントにうまいこと使うなー。はまりすぎてて憎たらしいくらいです。
二束三文だろうが買う価値のない(と、私は思う)漫画も沢山あるけど、作家の自己表現する最高のメディアとして描かれた漫画はやっぱ凄い。手塚治虫とか楳図かずおとか。
しりあがり寿のほか誰も、あの絵であの漫画を描くことはできなかっただろうなあ。

老人の槍を拾い、ぼろぼろの紙の兜をかぶり、都会のビル群へ「よし!」と向かっていくサラリーマン。次のページの最後の挿し文、「すべてのドン・キホーテたちへ」
くそー。ファンになってしまった…。
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by lowoolong | 2005-04-14 13:41 | みものききもの