2005年 04月 20日 ( 1 )

四月大歌舞伎(夜)

四月十九日
中村勘九郎改め十八代目中村勘三郎襲名披露 夜の部
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お日柄もよくお帰りなせい七之助。ようやく中村屋三人がそろった四月夜の部、やっと観に行くことができました。それにしてもまあねえ、なんざんしょうねえ、凄いタイミングでしたわねえ…
…っていうのを忘れてました。面白かったー!!凄かったー!
今日は見事な和服のおばさま方にお姉さま方もたくさんいて、全体的に華やかだった。
暖かいためもあるんでしょうか。春はいいっすねー


■毛抜■

小野家のひとびとが大事な短冊を探しているところにやってきた粂寺弾正が、綺麗なおにいちゃんやおねえちゃんにセクハラをしつつ、お姫様の髪がどろどろ逆立ったり毛抜きが踊ったりする怪現象を究明する(短冊も見つける)というお話です。わー大雑把。
大病以来、今月で歌舞伎座復帰という團十郎さんです。わー、なりたや~!
團十郎さんはなんか、どっしりした温厚な存在感があっていいなあ。勘太郎に「柔らかい手じゃなあ~♪」と手をにぎにぎしたりするところも可愛らしいいやらしさですね!馬に乗るのは手綱捌きが大事じゃーとかって、教習場のエロ教官かとry
飄々とスケベなくせに、地獄に行って妹を同道してこいとかトンチの効いたことをいうのもいいですね。冴えてる(のか?)。
市川團蔵さんは二月も意地悪でカッコよかったですが、今回も意地悪で嫌味でかっこよかったです。眉のところの青い富士形がステキ。
しかしまあ、こうボサクサ人を殺しておいて「あっぱれ☆」ってな具合で終わっていいのか(笑)オチが磁石と言うのもくだらなくって荒唐無稽でよろしいですね。
舞台一面が金屏風だわ、海老蔵は出るわ時蔵さんだわ勘太郎だわ團十郎だわで、とても華やかでようございました。


■口上■
夜の部は三演目です。口上入れて三つか。書いてみると少ないものだ。
とざいとーざいで幕が開けると、前月とは違って波に松の襖絵。金子国義氏の筆によるものだそうで(by勘太郎)
江戸三座であった頃の中村座では、きのえねの年など代々の團十郎が口上をしてたとやら、今月はその成田屋團十郎さんの口上もあってひときわめでとうございますねえ。よかったねえ、という気分になります。
左團次……ホモと嫌なジジイの次は、「後ろから音を出してしまいまして、『ノリちゃんゴメンネ!』といったら後で勘九郎さんに叱られました」とやら…
三月もこれは言ってたみたいですけども、いやーなんつうか、凄いね左団次!
七之助はよりにもよって口上から復帰なわけで、あの場にいるっていうのは物凄いプレッシャーだろうなと思います。今月は前月よりももっと「勘太郎、七之助ふたりのご子息ともども」という言葉が耳に残りました。うう、この喜多八め…(泣)
勘太郎さんは「弟と一緒に精進します」とか「金子先生が~父にかわってお礼を」とかこまごまとがんばっていました。かんたろさんは夜の部出ずっぱりですねぇ。すごいなあ。
十八代目勘三郎、という像がよりスムーズにそれまでの勘九郎と結びつき始めてきた感じがした。襲名というのは、脱皮ではなく進化なんだろうなと思う。


■篭釣瓶花街酔醒■
きゃー!じろざえもーん!
…って別に次郎左衛門なんていい男でもなんでもない(わけでもないけど)ですが
籠釣瓶は前から観たいなあと思ってた芝居なので、勘三郎の次郎左衛門で今月見れて幸せです。しかも、、、すごく良かったー…!
「篭釣瓶花街酔醒」という題もまた、的確で深くて見事なもんですね。

客電が落ち真暗な中、パッと舞台が明るくなるとそこはまさに「花の吉原」。わあー!とジワが起きました。あーもう、シンプルで実に実に見事な演出です。大好き!
ちょこちょこやってくる田舎者の佐野次郎左衛門とその下男、治六。その前をすぎる七越、九重、そして八ツ橋という花魁道中。「帰るのが嫌になったー」という次郎左衛門の言葉もなるほど、玉三郎の八橋が中央の桜の後ろから出てくると舞台が一層明るくなった気がする。すっげーなしかし

「おいらん、そりゃあんまりそでなかろうぜ」
そうこうして誠実で綺麗な遊びかたをする次郎左衛門と八ツ橋は、あともう八ツ橋の身請けの日を待つだけみたいな仲になるんですがこれがまた…ねえ
 八ツ橋という人は複雑です。たとえば「御所五郎蔵」の皐月のように、本当に好きな人に強いて嘘の愛想尽かしをしているわけじゃないからなあ。八橋は栄之丞が好き、だからといって次郎左衛門が嫌いだというわけでもない。次郎左衛門へのそれは、あくまでお客さんという範疇を越えるか越えないか程度の「好き」だろうけど。
 だからある意味彼女の愛想つかしは、真実でもあるのではないかと思った。最初はおどおど口にしてみたけど、そのうち茶屋女なんかから攻め立てられて、またその当人の次郎左衛門は気遣いして自分を責めちゃあ来ないとくる(こういう時は怒ってもらった方がまだマシな気がしますよ)、でイライラして「さっきの男はあたしの情夫よ」っつって「もう他人なんだから他の座敷へ行きます」とその場を出てしまって、でも九重さんに「堪忍してください」と悲しい気分も見せる。難しい役だなー…!
玉三郎は引っ込んでいくところなんか凄く“悲壮を湛えた八ツ橋”という感じがしたけど(えいのじょうめー玉三郎を泣かすなー!とか思ってしまう)、福助なんかが八ツ橋をやるとどうなんでしょう。みてみたいなあと思います。

一方の次郎左衛門。こっちはもう単純に恋心を騙された(と信じ込む)男であるだけかと言えばそれだけでもなく、大勢の前でとんでもない恥をかかされた男という面もある。どっちが重いかわからないけど、後者に本格的にスイッチが入ったのは治六(段四郎さんスゲー良かった)が「てめーこのおいらんッ」と食ってかかったあたりじゃないかと思います。家来に恥ずかしいところを見られ、なおかつその家来に怒ってもらうなんていちばん面目が立たないと思う。場はしらけちゃうしさー

八ツ橋を次郎左衛門が殺した気持ちは、「よくも大勢の前で恥をかかせたな」という台詞。これを勘三郎が、ほんとーに憎々しく、地の底から囁くように言うのが凄かった。その前の、梯子段を見て来てくれと八ツ橋を遠ざけた瞬間にババッと足袋?を取る(滑るから?)速さからして、殺す決意は決まっていたようにみえる。
 八ツ橋を殺したのは、次郎左衛門の「男の意地」だったのだろう。でも、蝋燭の灯に八ツ橋を斬った刀をかざして彼が見たのは、刀ではなく、刀に映る自分の醜いあばた面だったのだと思う。八ツ橋の情夫のイイ男っぷりを知る次郎左衛門には、その差が悲しくて悔しくてならなかったんじゃないだろうか。
「籠釣瓶は、、よく切れるなあ」 の狂相は、念願の相手を殺したなどという喜びなどもちろん微塵もなかった。悲しい悲しい憎らしい、で次郎左衛門の心がめぐってまた「恋に破れた男の悲しさ」になったんだと感じた。んんん。勘三郎は凄い役者だ。


ええと。
かんたろさんの七越は、次郎左衛門が恥をかかされているとききゅぅっと悲しそうに眉をひそめててそれがとても良かったです。魁春さんの九重は、「おや本当は次郎左衛門が好きだったのかしら九重たん」と思いました。優しいなあ(泣)
初菊ちゃんの七之助が超可愛かったのでおもわず舞台写真を買ってしまいました。ほんと可愛い…みものですよ。ずっと後ろを向いていたのですが、ようやくこちらにくるりと向きなおるとき、おおっと思うくらい大きな拍手が沸きました。みんな待ってたんだねえ。あまりかわいいのでもっとしゃべれや!と思った。

で、小山三は今月もまた死んじゃう役なのね…
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by lowoolong | 2005-04-20 03:43 | 歌舞伎