小指の思い出 (LD)
あなたがかんだ こゆびがいたい
…といういやに色っぽい往年のヒット曲と関係があるやらないやら 劇団・夢の遊眠社『小指の思い出』(86年本多劇場)です。 学校の図書館にございました。ひゃっほう、もーぅけもーけー♪(濱田マリ) レーザーディスクって画像びみょん+容量びみょんのくせに凄いかさばるね。その割にけっこう普及してたようで…VHSよりは劣化しないんだろうけど。それを思うと、DVDってつくづく凄い発明だったんだな。 なんかねえ、遊眠社時代のは出だしにいっつもひいてしまいます。「あわないかもっ」と。メルスを見る前に予習として(?)はじめて野田秀樹の芝居『贋作・桜の森の満開の下』をみたのですが、そのときも「うわあこれぁついていけないかも」と思った。しかしその後、展開やテンポがなじんできて、違和感もなくなるのが不思議なところ。この作品もそうでした。やばい。 それにしても深刻なほどわけがわかんない。でも楽しい。もっといろいろ知識があれば、ああ!とかおお!とか発見があるだろうなあ。カスパー・ハウザーとか後から知ったもの。 (※カスパー・ハウザー……19cに実在した、ドイツに突如現れた16歳の野生児。現在では人間との没交渉のためにおこる精神障害の術語、「ひきこもり」の代名詞) 「あかばね当たり屋専門学校」(?)の赤木圭一郎くんと、モグリの当たり屋かつ「子どもの心を忘れたくないあなたへ」みたいな通信販売をしている粕場聖子。粕場聖子の持つ“少年時代”につながっていく、魔女狩りのある世界。 現実世界と妄想世界。 粕場聖子はカスバの女――花はマロニエ、シャンゼリゼ♪(by工藤静香) 過去、心臓が二つ、歯磨き粉 自動販売機と婚約者 指紋がとけていくにつれ解けていくアイデンティティ。「おまえだれだ?」「なまえとけちゃった」 指紋の糸に繋がれた凧、その凧に乗ってアルプスを越える母(わかんねえ~) 「歯、皮膚へ、帆」 「もう、そうするよりしかたがない!」 「音が見えて、色が聞こえるようになるのよ~♪」 「どく、どく、どく、どく」「ざく、ざく、ざく、ざく」 「カスパー・ハウザーは妄想の一族の名だ!」 「あの子達、この薪が私を燃やすことになるとも知らないで…ああ、私を暖めようとしてるんだろうか、…いや?あの子達は本当はすべてわかってやっているのかもしれない…」 「――ああ、なんてことを、これでは私は本当に魔女だぁ…」 (↑台詞とか激しくうろ覚え) 言葉や台詞一つ一つがカッコいいんだけれども、「このストーブが僕らのお母さんだー」とか文字にしてみたらそれこそ「…電波?」としか思えないようなことを言ってて激しくちんぷんかんぷん。でもいいやもう。おもしろかったから。お芝居の魔法ですねぇ。 段田安則が世界一かっこいいとしか思えなくなったり、かと思えば“狩人”の松澤一之(だと思う)に惚れてみたりして大変でした。なんて素敵に格好よろしいのかこの劇団の役者さんは… それにつけても野田秀樹の女形、粕場聖子が最高。きれいでかわゆい。面白すぎて悔しい。なんだこのひと、一体何を狙ってんだちきしょぉー そんでもって声がやばい。どうしてこんなに筋のわからない芝居なのに、ぞくぞく震えるような言葉を発してきよるのですか。ラスト、十字架につられながらの述懐はやばいですよ、涙出てきちゃいますよほんとに… というかそもそもどっからあんな声を出しているんだ。 やばいて…野田秀樹マジやばいて… ああ、これで勘九郎に続いて二人目、親と全く同い年のおじさまに入れ込んでしまいそうです。 …もう一回見よ。ぜったい見よ。 母、子、少年性、妄想と現実とアイデンティティロスト。 難しくて面白くて嫌になるなぁ… にしても、「ビデオ入ってる日に間違えないでよォー!」とか、こういうのナマのお芝居ならではの面白さですね。『走れメルス』では、初めて観にいった日は芙蓉が林檎投げに何度も失敗してたのに、次見た時は一度で成功してたりとか。たーのしーい
by lowoolong
| 2005-02-13 01:35
| 演劇
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