平成中村座NY公演「夏祭浪花鑑」 (テレビ放送)

大晦日に放送してた、平成中村座NY公演について。

あんまりストーリーに注目してなかったのですが、かなり大雑把に粗筋を言うと

けんかをしてとっつかまった団七九郎兵衛玉島磯之丈という人(…の親?)の骨折りでようやく釈放されました。その磯之丈が悪者の悪巧みにはまって犯罪者として追われているので、これを見逃しちゃあ男が廃るってんで、任侠の親分釣船三婦、義兄弟になった一寸徳兵衛(&その妻お辰)とともに彼とその愛人琴裏をかくまい、守ろうと奮闘しますが、そこに団七の舅で金の亡者の義平次がからんできて…

…みたいな話かな。とりあえず浪花節。がんがん浪花節。ものっそ浪花節。
義理と人情、心意気!男の面子がたたねぇんだよおとっつあん!みたいな?

いやあ、もう、すげー!!
開演前の様子から放送してましたがね、どことなくチープな感じがする芝居小屋の客席を、開幕前から浴衣姿の役者さんがあるいてるわけですよ。客席まで「なんだなんだこれからおまつり!?」みたいな感じ。前のほうじゃなんか喧嘩とかしてるし、……って勘九郎じゃんか!(なるほど、前説ね)
笹野高史がなぜ歌舞伎に出ているのかよくわからんのですが(好きだからいいけど)、守銭奴義平次な笹野高史は客からバッグを盗んだりして「ギヘージー!ギヘーィジー」とか開演前の解説をしているメリケンのおっちゃんに叱られてました。(笑)

こういう、舞台と客席の境をあいまいにするような演出、大好き。大きな劇場じゃまず無理ですね。

いやあおもしろかったですよ。
弥十郎の釣船三婦のおやびん大好きです。嫁にしてっ
若い琴裏ちゃん(しちのすけ!お人形のようです)といそのじょう(芝のぶちゃん!女の子が男装しているみたいです!)がいちゃいちゃしてるのに当てられて、ちょ…っと目配せする奥さんとのやり取りがたまらなかった。あと、釈放された団七に自分のはいてた褌をあげちゃってから(…すげぇな)、花道で大きく足を踏み出そうとして「おおっとアブねェ」みたいにすそを直すとことか。
好きポイントがなんだか下世話ですねわたくし!
釈放された団七に、床屋の中から声をかける「団七、だぁーんしち!」の声がもう素敵すぎて素敵すぎて。弥十郎さんかっこうぃい~っ
あと、はしのすけのいい男っぷりにびっくりです。やばいよやばいよー(出川)

まあね。なんつってもだ。
兎にも角にも勘九郎です。大阪弁上手すぎ。かんくろーは主役の団七と、磯之丈を国許に送るとかで三婦さんのとこに身元ひきうけにやってくるお辰との二役ですが、お辰、凄かった。
三婦さんの「あんたみてぇに色っぽい女には磯之丈さまを預けられねえな」ってのにはぶっちゃけ「説得力、ねェー!」 とか思っちゃいましたけどね(だってだってだって)、そう言われてみせる、「ええい悔しい、悔しいったらねぇや!」みたいな表情、マジ最高です。あんなん歌舞伎座の三階席からじゃ見えなかろうな。テレビ放送万歳。
こんだけ女の底意地を見せるような表情がありますかい。綺麗な顔がまずいならこれでどうだい、とお辰は顔に焼けた火箸(?)を当てて鉄火な心意気を見せますが、お辰のこの女っぷりはあの表情あってこそ。このお辰じゃなかったら、「なんだこの荒唐無稽な展開は」と置き去りにされるような気がします。
「あたしの亭主は、ここ(顔)じゃなくて、ここ(胸)に、惚れてますのさ」という決め台詞が滅茶苦茶腑に落ちますわ。

団七っつぁんは、琴裏ちゃんを金目当てに売り飛ばそうとした義平次を説得しようと、しきりにとりすがり、振り払われ、それでもなお取りすがり…とやりますが、ここの笹野高史とのやり取りがねえ、もう泥沼というか生々しくってやたらリアルでしたね。あまりに罵倒され、つい刀に手をかける、その「つい」というニュアンスとか、
「ああ殺しちゃうのかしら、ああそうだよね殺さないよね…あ、あ、殺すの!?殺すんだ!!」という手に汗握るような感覚を人に抱かせるのがとてもうまい。というか、天性のものではないかと思います。これを計算してやってるとしたら、それもまた天性の才能でしょう。すごいねどうも。
どっかでこういう凄さをみたな、と思い返せば勘太郎の「決戦、油小路」でのあの表情。なるほどさすが、藤堂平助の親父様……(感服)

沼に落ちてドロドロになりながら逃げる義平次と、髪を振り乱してそれに切りかかる団七。ここらへん、江戸なにわ?の猥雑な悪所の雰囲気とか夜の暗さとか、そういう華やかなものの裏側のリアルをつき付けられたような感じ。見事!

舅を殺してしまってから団七は逃げまくるんですが、なんかそこが面白かった(笑)
家がミニチュアになってて、さしずめ寸法はゴジラの如し?家に乗ったり家を投げたりしてるよ!家が割れたりもしてますよ!
ミニチュアの屋根に団七の人形がちょこちょこ動いてて、それが殺陣をしたりもしてました。わ、笑っていいのこれ


ラストは、もうさすが、ララララララメリカー(ウエストサイドストーリー)なオチでした(←?)
これ、びびるね(笑)
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by lowoolong | 2005-01-14 01:41 | 歌舞伎
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