走れメルス~少女の唇からはダイナマイト!~

NODAMAP第十回公演、今月のわたしの最大の楽しみであった「走れメルス
12月29日、Bunkamuraシアターコクーンに行って参りましたよ。もうほんとうに劇空間、架空の世界で、ぽやあ~っとしちゃったよ…

正直チケット手に入れてから一月、いやもう二月あまり。学校の図書館に戯曲があったので、思わず借りて、見てから開こう見てから読もう、そうは思えど耐え難く、開いた最初のページに憑かれ、斜め読みに途中くらいまで読んじまったのです。邪道!
でも、だって、難しい…というかわからないんだもの!
野田秀樹の芝居は、ビデオで「贋作桜の森の満開の下」と「ゼンダ城の虜」をみたことがあったんだけど、そん時には圧倒されて「…ああ、意味をとろうとしなくていいのかもな」と思った。
(とくに「桜の森」なんかは、鞠谷友子の声なんかがすごくて心にジンジン来たんだなー…)

今回の席は結構よくって、一階桟敷席の右側でした。舞台に近いー!(どうしても死角になってしまって表情が見えないとこがあるのは仕方ないか)
客席に入った途端、すごいセットが目に飛び込んできて驚きました。荒野のような、がらくたが渦と詰まれたどこか。粉塵が客席の上部に舞っています。それだけでもうどきどきしちゃいました。はう。音楽(ラスト特に!)音響や映像、美術本当によかった。
見ているときはばぁーッと圧倒されて、のせられて、見終わった後からじんじん納得していくタイプの、新鮮なお芝居。


かなしい女と彼女を好きで好きで好きだから不幸な男の話。かな?

下着泥棒のスルメは空想癖の激しい芙蓉を好きで、その芙蓉は母親形見の鏡台と青春歌謡集にうきあがる“向こう岸”のメルス・ノメルクを待っている。
メルス・ノメルクは結婚式の日に花嫁をさらって七人の刑事に追われる大罪人、さらった花嫁零子に肩を叩かれて、昔見た幻影の海の向こうへ乗り出していく、と。

「メルスは逃げていくのではありません!まだ見ぬ君に向かって、走っていくのです!」
「マンジュウとスシオウが坊やを生んだ?」「小火だ!」
「主が死ぬと部下にするの、メルス?」
「おさとう」「おさと」
「もう二度と振り返らないぞ」
「あたしのこと勝手に決めないで!」
「今アンタの罪を盗んでアンタの名前を盗みますよ」
「動機…動機、あの人を愛していました」

一番気になったのが零子の存在です。戦艦の名前を次々連ねていくところで、得体の知れないゾクゾクした気持ちになりました。なんか怖いんだよこの人。
零子はメルスをかき乱すだけ乱すけど、結局は“向こう岸”で完結するわけで、いわば向こう岸の象徴、最後こちらとむこうが重なって向こうが消失(焼失)する?のを考えるとそもそも向こう岸なんてものは虚像、つまり0、(=零個)なのだろうかとか。
馬鹿ちんなんでぐちゃぐちゃ考えてしまいます。(野ッ暮)

痛い愛が切なくて痛い。なるほど、この感情は愛の痛さだ。
ぶわぁっとくるような感情をもらったのですが、名をつけるとすればそれだ。(やぼ!)
見てられないよスルメ…ってのはああそうか、「痛くて」見てられなかったわけなのか。

共有したかったものは青春歌謡集につづられた「彼女の物語」、こちらと向こうが溶け合って薄れてゆく「メルス」の存在、認めたくないけれど彼女は半狂乱でその男を求める、だからその名を盗み罪を盗み、それでも駄目で、そして結局、………

うわー!わっけぇ~!熱い!でもなんでしょうこの痛々しさ!
言葉にしにくいこんな複雑な、熱さと変なノリと勢いと疾走感と苦しさとせつなさ、まとめて表せばそれが「若ぇ~!」ってかんじ。ラスト近くのスピード感はただ圧倒されました。
ていうか野田秀樹、天才と違うの。

“下着泥棒スルメ”な勘太郎さん、ぶっちゃけ一番のお目当てはこのひとと野田さんだったんですが、もうぴかぴかに痛々しい一途な兄ちゃんを演じてました。
そして筋肉!筋肉!(←二度)…身体能力!
狂気を見せるシーンは見物です。駄目なのに情けないのに。
メルスを求める芙蓉を見つめながら、声に出さずに「ふよう、ふよう、ふよう、ふよう…」と呟いている顔が、もうなんかなあ、切なくて凹む。ラストシーンはもうどうにかしてあげてよこの人と…

深津さん可愛くてあやういかんじがいい。「メルスーー!!」の声が耳から離れません。
野田さんは大奥様も桐島女史もなんというか可愛くてどうしようかと。古田新太とのラグビーシーンで素に戻ってるっぽいのが最高です(笑)古田新太(なぜかフルネーム)はやっぱすごいんだなあ。

ああ。もう面白かったけどまだまだ足りない。またもう一度、今度はもっと後ろの席だけど、観にいきます。

走れメロスとは関係あんのかしら…ないかな…?
♪ボヘーミアーの川よーモールダーウよー♪がアタマっからはなれない。
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by lowoolong | 2004-12-30 18:43 | 演劇
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